鬼怒川の氾濫などで大被害となった「平成27年9月関東・東北豪雨」(気象庁命名)の被害では、全国で8名の方がなくなり(9月25日総務省消防庁発表)、たくさんの住宅に被害が発生しました。茨城県や栃木県での被害住宅数等がまだ固まっていませんが、全国での被害は床上浸水だけで7000棟を超え、床下浸水は12000棟にもならんとしています。今後数字はまだ増えると思いますが、何十年、あるいは何百年に一度の大災害では、一生の買い物のはずであった家もあっけなく被災してその形がなくなることもありうるのだということを私たちは肝に銘じておかねばなりません。
このような事態に備えて準備をしておくのが住宅への損害保険なのですが、注意しなければならないのは損害保険でも自然災害での補償(保険金)が受けられないものがあるということです。一般的な住宅保険は基本が火災補償から始まっています。かつて日本では火災が多く、木造という燃えやすい構造であったことから、まず火事の損失をカバーしなければならないという必然性から生じたものですが、火気器具の性能向上や、消火器具の普及、公設消防力の整備などで、時代とともに火災のリスクがかなり抑えられてきており、火災だけでは住宅の災害補償は不十分だという認識が定着してきました。そこで風による損害(竜巻や突風、台風などの強風)や雷による損害も、基本的な火災と同様に基本リスクとして担保されるようになり、さらに総合保険でカバーされる水害や土砂災害もいまやカバーされる基本リスクに含まれているのが保険会社からのおすすめ商品としてはごく当たり前になってきました。むしろ現代では水害リスクを不担保としている契約は珍しいのかもしれません。とはいえ、契約書類には水害不担保に押印をする欄があります。もしこの災害で保険金が支払われなかったとしたら、経済的にはたいへんつらいものがあります。このような事態を避けるためにも、お住まいの地域に水害リスクがあるかどうかは、ぜひハザードマップ等で確認し、もしある場合には水害が補償される保険を契約されることをお勧めします。
この火災保険も来る10月から料率が改定され、おおむね高くなるところが多いようです。西日本を中心に自然災害による保険金支払いが増えていることがその原因と説明されているようですが、被災当事者でなくてもこのような機会に自分の置かれているリスクと保険について一度考えていただくきっかけになればと思います。